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ラクルイノヨルニ
「大糸線」
大雪だって報せがあって
じゃあね、って 電話を切った
最後に乗った大糸線は あれ いつだっけ
覚えてないや
ふとした匂いに思い出す風景
思い出せない同級生
どうか体に気を付けて
そう 伝え忘れた事に気付いた
さよなら、僕の町 夕日が胸を刺し
何度も砂を噛み 面影が滲んでぼやけた
冷たい風が吹き 走り出す背中に
大袈裟に手を振り 見送った
全てを僕は見送った
この心をなんという 静かに夜は水に浸かった
燦々と漁火 散々な暮らし 懐郷病の私
さよなら、僕の町 夕日が胸を刺し
何度も砂を噛み 面影が滲んでぼやけた
冷たい風が吹き 走り出す背中に
大袈裟に手を振り 言えなかった言葉を抱えた
寂れた商店街 自転車飛ばした道
校庭 錆びた時計 雪を踏む感触も忘れた
冷たい風が吹き 丸まった背中に
同じ夕日は差し 見送った
その全てが僕だった
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